概要
製作高欄 防護柵高欄 歩行者自転車用柵
FRC(繊維強化コンクリート)は老朽化した高欄の改修に最適です。以下にその適用先や使い方について解説していきます。
昭和61年(1986)以前の高覧、橋梁防護柵は現行の基準を満せない可能性がるため改修が必要といわれます。しかし保有数や種類が多岐に渡るなどの問題も絡み改修は遅れています。当協会ではFRCを活用した高欄の再生工法を紹介しています。
以下に、再生工法と新設工法の2工法を記載します。
1、FRC再生工法は旧高欄を再利用する経済性優先の方法です。
2、FRC新設工法とは建て替えの際に地覆(じふく)の埋込み基礎を再利用する方法です。※1
※1:現在は鋼製高欄のみ対応
特に再生工法は建替に比べ1/5~1/3と大幅なコスト削減となります。
FRC高欄工法はFRC協会の認定工法です。
FRCを使った高欄の改修方法 | 特 徴 |
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1、高欄を再利用でき経済的です。 2、補修後の曲げ強度は鋼管同等です。 3、車両衝突時の衝撃加速度は鋼管同等です。 4、車両衝突時の減衰は鋼管1/2です。※1 5、鉄筋検査が無く経済的です。 6、アンカー工事が無く簡便です。 7、異形管の接合が可能で便利です。※2 ※1:揺れを弱める働き「制震ダンパー」で安全性がより高まります。 ※2:汎用性が高く事故後の修復が早くなります。 | |
FRC再生工法 | 左記は防護柵の再生例ですが、支柱の再生方法は高欄も同様の施工です。全てが再利用となり経済的です。 |
工程写真 令和5年8月追記
改修
FRC新 設 工 法(防護柵高欄の例) | 改修方法 |
新設工法とは建て替えの際に地覆(じふく)の埋込み基礎を再利用する方法です。この埋込み基礎と新設高欄の接合にFRC材を使います。 | |
FRC再 生 工 法(防護柵高欄の例) | 改修方法 |
再生工法は旧高欄を再利用する経済性優先の方法です。 1、旧高欄の強度低下した地際部を切除して中空部にFRCを挿入する。 2、無収縮モルタルをFRCに注入して膨張させる。 3、硬化後、ブロックアウト型に改修(ビーム取付) Q1、路面からの高さが高欄は110cm、防護柵は100cmに満たない。(1986年改訂) A1、基準高さまで旧高覧に手すりを追加する。 Q2、支柱がブロックアウト型に対応していない。(1986年改訂) A2、旧高欄にガードレールやガードパイプ等を増設するなどの改修おこなう。 Q3、支柱に衝撃吸収の設計がされていない。(1986年改訂) A3、FRCで鋼製支柱を修繕することで、30cm変形しても破断しない塑性変形体(そせい)となり突破を防止します。また、衝撃吸収は防護柵の設計に準じてFRC改修された高欄でおこないます。 Q4、高欄の強度が現行基準を満たしていない。(1986,1998,2008年改訂) A4、高欄SP種の現行基準は路面から一定の高さの高欄頂部を荷重点として最低設計荷重を水平で2.5KN/m、垂直で0.98KN/mを基準としています。FRC材を鋼製支柱に設置することで水平荷重は高欄の高さ1.1mで3.36KN/mとなり、防護柵高欄の高さ0.8mでは3.7KN/mとなり十分な定数を得ます。 | |
詳細図
- FRC再生工法の例 旧高欄を再利用する経済性優先の方法です。
- FRC新設工法の例 建て替えの際に地覆(じふく)の埋込み基礎を再利用する方法です。この埋込み基礎と新設高欄の接合にFRC材を使います。
FRCとアンカープレートの比較
多く採用されているアンカープレート柱脚と、FRCによる柱脚の比較となります。
FRC新設工法 | 従来工法(アンカープレート式) |
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・アンカープレートより約30%経済的です。 ・老朽化した地覆(じふく)を傷めない。(削孔なし) ・金属腐食がない。 | ・検査費やベース部品が加算します。 ・老朽化した地覆(じふく)を傷める可能性あり。(削孔あり) ・金属腐食がある。 |
強度
衝突安全性 「衝撃加速度試験」
ブランク鋼管径Φ114.3㎜とFRC装着鋼管径Φ114.3㎜の試供体を正弦半波で対比して評価した結果、ブランク管で正加速度は+2.276m/s2、負加速度ー2.314m/s2を示した。FRC管の正加速度は+2.207m/s2、負はー1.401m/s2(加速度グラフ)を示した。鋼管の変形量、δ(㎜)はブランク管で123㎜、FRC管で148㎜(写真3)となった(試験結果の表1)
また、衝撃力はF = mv / ∆t(∆t = l/v (s))から、ブランク管、F=47865.61 N(4884 kgf)。
FRC管、F=39780.20 N(4059 kgf)となり、FRC管はブランク管より16.9%衝撃力が軽減する結果となった。
4、考察
FRC装着鋼管の曲げ強度はブランク鋼管より高い強度値にも拘らず、衝撃時の加速度はブランク鋼管と同等の値であった。さらに、負の加速度がブランク鋼管を100%とするとFRC装着鋼管は約63%加速度が小さかった。すなわち車両衝突時の衝撃吸収性が高く安全性に優れた構造体であり、これは、変形量からも考察される。FRC装着鋼管は25㎜(写真:共試体の変形状態)変形量が大きいことや衝撃加速度試験の動画からも、衝突エネルギーの吸収性(減衰性)に優れた構造体といえる。
加速度グラフ (m/S2) |
物性
耐久性 | 概要 |
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凡例 | |
1、サンシャインウェザー試験 2、繊維強度保持率(%)評価 3、600時間(約3年相当) ほぼ耐候性劣化がありません。 繊維は経年劣化の影響が大きいから耐候性は重要である。 | |
1、耐酸性試験 2、繊維強度保持率(%)評価 3、2000時間 酸の影響は受けません。 コンクリートはアルカリ性で酸性に脆弱なので繊維の耐酸性は重要である。 | |
1、耐酸性試験 2、繊維強度保持率(%)評価 3、2000時間 アルカリの影響は受けません。 コンクリートは強アルカリ性なので繊維に保護処理をせずとも運用できます。 | |
1、耐溶剤性試験 2、繊維強度保持率(%)評価 3、2000時間 添加剤、接着材など各種有機溶剤の影響を受けません。 | |
1、塩水噴霧試験 2、繊維強度保持率(%)評価 3、2000時間 塩水の影響を受けません。 大気暴露腐食の促進評価を意図した汎用的な腐食試験で沿岸や寒冷地の融雪剤等の耐久性に影響します。 |
カタログ
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